どうしても言いたい。書きます。
参議院の新人議員が初登院しました。居酒屋チェーン「ワタミ」を創業し、めでたく参議院議員に当選した渡辺美樹氏も登院されました。このニュースから、2013年5月31日にオフィシャルブログにアップされた”「ブラック企業」と呼ばれることについて”を知りました。
一部の情報だけをもって、一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではありません。
記事のなかで、このように気持ちを表現されています。
正しい事実と思いを、これからもこうして皆さんにお伝えしてまいります。
最後の締めくくりの文章です。これを読んで、私は違和感を感じました。ブラックかどうかの問題点ではありません。
”正しい事実”と読み手が判断できる情報を見つけられない記事だったからです。いくつかの数字を根拠の意見もありましたが、その数字を支える情報がないのです。これでは正しいことか?分かりません。
この記事。3つ 納得できない点があります。
離職率の数字でのトリック
離職率の42.8 % は、宿泊・サービス業より5.7 % 下回っており、もともと離職率が高い業態なので仕方ないと言っている点です。従業員の労働環境についての話と離職率をすり替えています。労働環境が劣悪なのに「退職できない」とも読み取れます。
無記録の残業時間はどこに行った?
年収と残業時間の比較があります。年収は役員を含む全社員が母集団と推測されます。しかし、残業時間のデータはどうなのでしょうか?店長は役職だから「残業という概念が無い」と、徹底して社員教育されていることで有名です。
これらから、労働環境が適正であることは分かりません。ましてや、労働基準法を守っているかも分かりません。記録されていない残業時間はこのデータに入っているはずがありません。しかし、過去に一ヶ月 140時間の残業に従事させたと、労働保険審査会(厚生労働省)が認定しています。
「過労自殺」入社2カ月ワタミ新入社員、労災審査官認定/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ — 神奈川新聞社
労災申請は認められず却下されたのですが、労働保険審査会に再審査申請をされています。この場合は国に対して異議申し立てをすることになり、被害者と国が戦うことになります。この点は労災申請とは全く違います。
それが認められたのです。これはすごいことなんです。ワタミの責任だけでなく、労働基準監督署(いわば国)の労災審査が間違っていたと認められたことになります。
欠勤・休業の社員は4名
すごいだろ!とのことですが、メンタルヘルス不調(この言葉も意味不明ですが)の退職者数が伏せられています。どうでしょう?ゼロということは無いでしょう?数人なら、逆に書くと感じます。4人と明記していますから。
引き合いに出しているデータも問題ありです。「財団法人 労務行政研究所」とあります。国が調べた雰囲気を受けますが、違います。普通の会社と思ってください。特定の個人や企業などの法人から拠出された財産で運用され、公益性がなくても作れます。
財団法人 労務行政研究所のホームベージを見ると分かりやすいです。
一般財団法人労務行政研究所 人事・人材マネジメントのための最先端情報サービス
経営者のコンサル?と感じます。平成22年の調査ですが、調査対象はこの通りです。
www.rosei.or.jp/research/28630.pdf
全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む) 3589社と, 上場企業に匹敵する非上場
企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上) 328社の合計3917社
日本企業のごく一部です。上場もしくはそれに匹敵する。もちろんワタミさんも上場していますし、巨大企業です。しかし、店舗の職場環境はそれと同じですか?
それ以外も感じますが、この3つは特にです。
渡邊氏 独裁
後半の下りです。
私の目の届かない所で理念と反した事実が起きてしまう事も稀にあります。しかしながら、私が事実を知った瞬間からは、早急かつ厳格に対応
渡邊氏が知らない所には問題点があると認めていません?知ったら対応する。知らなければ、、、、という事ですね。わかります。渡邊氏のスタッフさんは大変です。こんな非効率なことをせず、労働組合を作れば良い事なのに、都合が悪いようです。
36協定も守っていると書かれていますが、合意した36協定を守るのは当たり前です。威張ってどうするのでしょうか?36協定は労使が交渉して合意するものです。労働組合がなければ、労働者の意見は無視できます。ブラックと言われたくないなら、労働組合を作ったあとにお話をお願いしたいです。
記事のはじめの言葉にも同じことが書かれています。
法や行政が定めたものにはいっさい抵触しないよう経営幹部に指示しています。
指示しなければ、法律違反する経営陣・法律を守れば「何をしても良い」と考えていると感じます。
最後にある言葉が象徴的です。
不満や不平を乗り越えた先に、大きな成長を手にすることができ、夢に近づくことができることもあるはずです。
不満や不平は”減らす・無くす”ものです。乗り越えるものではありません。乗り越えよ!と命じるからブラックなのです。
夢の押し売りはやめてください。
「経営者の夢を労働者に押しつけ強要し、健康を奪う企業」がブラック企業だと、私は強く感じます。
20代、経営者の語る夢が叶うと自分も成長できると感じて、走り続けました。私も労災申請中です。双極性障害と診断が出た直後に、「自己都合で辞めてほしい。残業代はそのような習慣はないので払わない」
これが経営者です。それ以前は「会社が大きくなることは、家族が成長するのと同じだ。国が定めた残業代を支給すると、成長させる経営が難しくなる。」「一年を通して、期末の利益をきちんと分配する」と言い切られました。期末に50万(大金です、それは理解しています。)ほど貰って、無知な私は無邪気に”はしゃいで”ました。
実際は、140時間を超える残業を毎月していました。無知な私が悪いのでしょうか。今となっては時効が成立しています。たった2年です。窃盗罪は7年なのに。タイムカードデータもきっちり持っているのですが。
別れた妻と子供たちに悪い事をしたなぁと、後悔先に立たずです。
刑法 第三十六章 窃盗及び強盗の罪
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第七章 期間
第二百五十条 より抜粋
○2 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、
四 長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五 長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
補足:残業時間について
残業による賃金支給がなくなるのは”管理監督者”であって、役職の肩書きがあっても勤怠管理を自ら行えない労働者は管理監督者となりません。
つまり、使用者は残業を命じる事は出来ず、もちろん残業代を支払うのが法律論です。ただし、実際には裁判を起こす必要があるのが現実です。
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために −pdf−
36協定
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)
参考
ワタミ系の介護施設で74歳女性が溺死 入浴中、警視庁が捜査 :日本経済新聞
www.watamifoodservice.jp/fs/topics/pdf/20121214.pdf