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Google検索の終わり?【The End of Google Searchを読んで】崩れたのは「PVがお金になる」モデルだけ、という話

「The End of Google Search—and the Internet—as We Know It」という記事を読みました。The Ringer に載ったもので、「私たちが知っているかたちでの Google 検索と、インターネットの終わり」という穏やかでない見出しです。

知ったきっかけは、X で流れてきたこちらのポストでした。

書かれている数字は、たしかに衝撃的でした。

  • アメリカの Google 検索の約 68% が、どのサイトもクリックされずに終わっている(10年前は 45%)
  • 検索結果1位のクリック率は、AI による要約が上に表示される場合、27% 程度から 11% まで落ちる
  • USA Today は流入が約半減、Business Insider は 85% 減
  • ウェブへのリクエストの約 57% は、すでに人間ではなくボット

Condé Nast の CEO は、社内に「検索はゼロだという前提で事業計画を立てろ」と伝えたそうです。

僕はこのブログ「ものくろぼっくす」を 2009 年から書いています。月間 65 万 PV を記録したこともありました。だから、この数字の意味は実感として分かります。

それでも、読み終えたときに感じたのは、絶望ではありませんでした。

崩れたのは「PV がお金になる」というモデル。

情報発信の価値そのものでは、ない。そう思ったのです。

悲鳴を上げているのは、広告収益のメディア

まず冷静に切り分けます。

この記事で悲鳴を上げているのは、広告収益で成り立っている大規模メディアです。「PV × 広告単価」がそのまま売上になる構造だから、流入が半分になれば事業が半分になる。深刻なのは当然です。

そして、さらに厳しくしているものがあります。収益が悪化すると、それを維持するために広告をさらに増やす。

開けば広告だらけで、ますます読む気がしない。この悪循環に入っているメディアを、最近よく見かけます。

このブログは逆で、広告は減らしています。

スムーズに読んでもらうことに注力する。その方針は変えていません。

そう、なので、中小企業のホームページや、仕事につながる個人のブログは、もともと「PV を広告費に換える」構造ではありません。

だから同じ数字を自分にそのまま当てはめると、必要以上に悲観することになります。

崩れたのは、一本の収益モデルです。インターネットそのものではありません。

終わったものは、正直に認める

ただし、はっきり終わったものもあります。

キーワードを狙って検索意図を満たすだけの記事。「WordPress 表示速度 改善」のような記事を量産して流入を取る手法です。これはもう戻りません。AI が直接答えてしまうので、ユーザーがサイトを訪れる理由が消えたからです。

実感もあります。僕自身、検索しなくなりました。

WordPress の表示高速化なんて、いまは Claude Code に頼んでしまえば、自分が作業することなしに実現してしまう。

まさか生きている間にそんな世界が来るとは思っていませんでした(すごい時代です)。

なので、Google で検索して解決方法を調べる人に向けたノウハウ記事は、もう書く必要がない。記事の本数を KPI にする運用も、投資対効果として成立しなくなった。

ここを認めないまま「それでも書き続けよう」と精神論に向かうは、まずいと思っています。

それでも、Webの役割はむしろ重くなった

その上で、考えていることを書きます。

Web サイトの役割は「集客装置」から「信頼装置」に移りました。

そして信頼装置としての重要性は、下がるどころか上がっています。理由は三つあります。

1. 検索順位という「信頼の代理指標」が消えた

これまで、信頼の一部は検索順位そのものが担っていました。「検索で上位に出てくる会社だから、まあ大丈夫だろう」という代理指標です。

それが AI 要約に押し下げられて機能しなくなった。

つまり、信頼はサイトの中身そのもので示すしかなくなったということです。

2. 情報の総量が爆発し、一次情報が希少になった

AI によって、それらしい文章をつくるコストはほぼゼロになりました。

世の中の情報量は爆発的に増えています。

一方で、「誰が、どの現場で、何を経験して書いたか」は複製できません。

希少性が移動したのです。

実名で、実務の裏付けがあり、失敗も含めて書いてある発信は、以前より目立つようになりました。

僕は WordPress に 19 年関わり、1,200 名以上の方のご相談に向き合ってきました。その経験から出てくる話は、AI が学習データから再構成することができません。

3. 出会いの順序が、逆になった

昔はブログが入口で、リアルが出口でした。検索で見つけてもらい、そこから仕事につながる。

いまは逆です。紹介、イベント、SNS、名刺交換。リアルが入口になり、その後に「この人はどんな人だろう」と確認しに来る場所がホームページです。

実際、初めてお会いした方から「ブログ、読んでます」と言われることがあります。初対面なのに、お久しぶり、という感覚。この感覚は、検索が減った今でも変わりません。

ホームページで「更新が3年止まっている」「代表の顔が見えない」となれば、そこまでの営業努力がすべて落ちる。

訪問者が減った時代だからこそ、少ない訪問者を取りこぼさないことの価値が上がります。

さらに新しい役割も加わりました。見込み客かもしれない方が「この会社どう?」と AI に尋ねる行動は、すでに起きています。

そのとき AI が参照できる正確な情報が自社サイトにあるかどうかで、返ってくる説明が変わる。これは検索順位とはまったく別の軸の投資です。

僕がブログを書き続ける、三つの理由

集客のためではなく、それでも書く理由を、自分の言葉で整理しておきます。

一次情報を貯められる場所だから。

実際にこのクライアントでこう詰まった、この設定でこう失敗した。一般論に還元できない実務のログは、AI には生成できません。それを置ける場所です。

自分自身が探せる場所だから。

これがいちばん大きいかもしれません。

先日、ホームページをリリースするときに、ある設定で引っかかりました。AI に相談しても、どうもうまい答えが出てこない。どうしたかというと、検索したら 2 年前に自分が書いた記事がヒットして、それがドンピシャだった。

AI はまだこの情報をうまく知らないらしい。自分の現場で起きたことは、自分のブログにしか書かれていない。AI の言葉でいう「コンテキストが大事」を、逆の立場から実感した出来事でした。

19 年分の試行錯誤を検索できる、自分だけの外部記憶。読者がゼロでも、この価値は 1 ミリも減りません。

リアルを補ってくれる場所だから。

ワークショップ 150 回分、ご相談 1,200 名分の会話は、その場で消えていきます。それを残せる場所があるかどうかは、事業の継続性としてかなり大きい差です。

そして、自分が探せる情報は、他の人も探して見つけられる。ささやかでも社会への貢献だと思っています。だからクローズドなメモではなく、公開する。

正直な留保 ──「変わらない」で終わらせない

最後に、都合のいい話だけで終わらせないために書いておきます。

価値が変わらないことと、同じコストで続けられることは、別です。

PV がお金になっていた時代は、コンテンツ制作が部分的に自己資金調達できていました。

いまは純粋な費用です。

だから結論は「価値は変わらないから今まで通り」ではありません。「価値は変わらないので、いくらまでなら払う価値があるかを決め直す」が正確だと思います。

個人ブログなら時間の配分、仕事のサイトなら予算の根拠。

ここを曖昧にしたまま「発信は大事だから」で続けると、いつか息切れします。

測る指標も置き換えたほうがいい。更新頻度や検索順位ではなく、「後から自分が引いた回数」「人に送った URL の本数」など。

地味ですが、こちらのほうが実態を表します。

おわりに

「SEO はもう効かないらしい」を「じゃあホームページは要らない」に短絡させないでほしい。

それが、この記事を書いた理由です。

主語を大きくしない。

終わったのは、PV を広告収入に換える大きなメディアのモデルと、検索流入だけを狙う記事の量産です。

崩れたのは集客装置としての側面だけ。

信頼装置としての役割は、むしろ重くなりました。

Google が変わっても、AI が答えを返すようになっても、「この人に頼みたい」と思ってもらうまでの道のりは変わりません。

その道の途中に、自分の言葉で書かれた場所があるかどうか。

僕は、あると思っています。

この記事を書いた人

大東 信仁

カンパチが好きです。

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