「悪文 -伝わる文章の作法-」岩淵悦太郎 編著 だれもが文章を書く今だからこそ知っておきたい知識がまとまった一冊

書店さんの本棚から、目に飛び込んできたのが、表紙に大きく『悪文』の二文字、サブタイトル「伝わる文章の作法」から、文書を書く上でモヤモヤしている悩みが解決するのでは、そう期待し購入しました。

ページをめくるとその期待以上、一気に最後のページまで読みました。編著者 岩淵悦太郎(1905〜1978)さんは「岩波国語辞典」共同編集者ということは読んでから知りました。

1961年に初出、1979年刊行 第3版を元に文庫化されたのが、今回手にしたモノです。

たくさんの例文を掲載しつつ、悪文を避け、伝わる文章へ通じる道は「短い文章を書く」であることを明解に示した、誰もが文章を書く時代の今、必携な一冊です。

  • なぜ段落が必要なのか?
  • 改行を1文づづ入れるとわかりにくさが増えるのか?
  • 文章構造を整理する必要があるのか?

これらの文章を書く上で悩む点について、豊富な例文からわかりやすく説明されているのが、本書の特徴です。

書き手と、読み手と、伝えたい内容、これら3つの関係を意識することの大切さと、書き手の心の動きを読み手がたどれるようにすることが、わかりやすさにつながり、明解な文章に必要であることを、本書は説いています。

悪文だけでなく、名文も紹介されており、森鴎外・夏目漱石の作品から、なにが異なるのか、差を生んでいるのは何か?を学べます。

常体と敬体の文章での、起きがちな注意点もわかりやすく、画一的なルールより伝わりやすく書くために考える点が書かれており、参考になりました。

巻末には「悪文をさけるための五十か条」が、検索としてまとめられており、文章を書きながら逆引きする使い方もできます。

  • 段落が必要なのか?改行が多すぎるとわかりにくくなる — P. 51からP. 69
  • 名文紹介 — P. 103からP. 148
  • 文章を短く書くことが大切 — P. 135からP. 148
  • 常体と敬体に関して — P. 267からP. 276

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